地震のカーテン

 7月11日配信 毎日新聞の記事である。タイトルは、太平洋プレート沿って「地震のカーテン」 染み出た水、岩盤に影響か である。
 北海道から関東にかけて太平洋プレートが沈み込む一帯(深さ約35〜75キロ)に沿って、カーテンのように鉛直方向に延びる地震の「巣」があることをAI(人工知能)を用いたビッグデータ解析で発見したと、東北大と東京大の研究チームが10日付の米科学誌サイエンスに発表した。Aプレートから染み出した水がこの「カーテン」内を上昇し、巨大地震を引き起こす岩盤破壊の拡大や抑制に関わっている可能性があるという。
  チームはこのエリアを「前弧地震帯」と命名。太平洋プレートの地下深くの高温高圧の環境で岩石から水が染み出し、地表に向けて上昇することでこの地震帯が作られていると考えられるという。
【論評】
 
研究の実際は 「震源が鉛直方向に分布していた」という事実を確認しただけである。プレートの押しに起因する地震では震源の鉛直分布を説明できないので、プレートからしみ出した水の上昇を後付けし、「水で滑りやすくなって地震が起きる」と説明する。しかし、プレートが押している時、地震断層は垂直ではなく45°の角度で形成されるので、水は斜めにできた断層に沿って上昇するので、震源は鉛直方向に並ばない。無理な説明なのだ。
  論文はサイエンスに掲載されたから、「震源が鉛直に分布」という事実より、「プレートから染み出た水が上昇して震源が鉛直に分布する」という無理な説明が真実・定説となる。
【鉛直に分布する理由】
  これまでの時評で述べたように、地震の原因は、マントルから上昇してきた玄武岩マグマの大陸地殻下部への貫入である。玄武岩マグマの貫入による体積膨張と周辺岩石の熱膨張圧で上部地殻の花こう岩が破壊されると地震が起こる。
  膨張圧は下から上に作用するので、震源が鉛直方向に並ぶのは当然である。水のカーテンは深さ約35〜75キロに分布する。マントルの玄武岩マグマの発生は深さ200キロと言われるから、深さ100 キロあたりまで上昇してきた玄武岩マグマの膨張圧で上部の深さ35〜75キロ付近で地震が起きても不思議はない。配信記事の研究は、これまでの時評の説明が正しいことを立証している。
 それにしても、プレート説では、いつのまにか、地震の原因は「岩石の破壊」から「断層の滑り」に変わっっている。しかし、「地震は岩石の破壊」である。プレートによる横圧力を地震の原因とする限り、つぎつぎと無理な説明が現れる。